SDMA
今日はぽかぽか暖かい日ですね。
お口に毛が入っちゃってるあわたまさんです。
【SDMA】(対称性ジメチルアルギニン)という物質をご存知ですか?
【SDMA】は、アミノ酸の一種であるアルギニンがメチル化されたもので、
体内で蛋白質が分解される際に血液中に放出され、そのほとんどが腎臓から排泄されます。
3月より、この血中の【SDMA】という物質を”腎機能のバイオマーカー”として測定することが出来るようになりました。
動物の体内では常に 【蛋白分解が起こる⇒【SDMA】が血中へ⇒腎臓から出ていく】 という事が起こっています。
血中に入った【SDMA】はほとんどが腎臓から出ていくので、
【腎臓が要らないものを濾過して排泄する機能(糸球体濾過量)】と相関します。
この【糸球体濾過量】を調べる検査が腎機能を測定するのに最も優れていたのですが、
手間も時間もかかるためこれまで一般の動物病院ではあまり行われてきませんでした。
今回、動物の外注検査センターでこの【SDMA】を測定できるようになり(血液検査です)、
より早期に腎臓病(特に尿細管間質性腎炎)を見つけられるかもしれないという期待が高まっています。
これまで主に腎臓の異常や腎臓病の進行度を測るため、【クレアチニン】という筋肉の代謝産物の測定が行われてきました。
【クレアチニン】も、同じように腎臓から排泄されます。(こちらは簡単で負担も少なくごく一般的です)
ただ、筋肉量の少ない猫ちゃん(特に痩せたお年の猫ちゃん)では見落としてしまうリスクがありました。
また慢性腎臓病の猫において、【SDMA】は【クレアチニン】よりも17ヶ月早期に上昇するいう文献が報告されています。
その他、早期腎臓病を見つける検査として【尿蛋白クレアチニン比】という尿検査もあります(特に糸球体腎炎)。
”腎臓病”といっても様々な病態があります(動物ではまだまだ分からないことが多いです)。
こういった検査を組み合わせることで、なるべく早期に腎臓病を見つけモニタリングや対症療法を行い、
なるべく元気に長生きしてもらう、という飼い主さんの一番の願いを少しでも叶えられていけたらいいなあと思っています。
【SDMA】の検査、本格的には7月からという事ですが、当院および本院のみなみ小金井動物病院では
先行して受付しております。
ご希望の場合は獣医師もしくは看護師までお申し出ください。